ちょうど10年前。2007年は日本の社会や家族のありようを考えるとき、大きな転換点となった年でした。ひとり暮らしの世帯が、夫婦と子供からなるいわゆる標準世帯の数を上回ったのです。若年層では未婚率が上昇し、高齢者でも(配偶者の死別によって)単身世帯が増えつつありました。高齢化社会の進行とととに、シングルが多数を占める時代に突入したのです。それはこれまで当然とされてきた家族像の見直しを迫る出来事でもありました。単身者1500万人時代の到来です。

シングルが多数の時代には光と陰があります。陰を先に挙げれば、これまでの社会モデルが通用しないため、個人にとっても社会全体にとっても、あるべき姿のイメージを想定できず、混乱が生じることです。かつて日本には村や共同体が心理的な拠り所であり、近代では家制度がそれに置き換わりました。

これからの時代は、地域とのつながりや友人・知人同士のつながりが家制度の替わりとなるのでしょうが、そう簡単に移行するとは限りません。未婚女性は同性の友人と親密な関係を築きやすいものの、未婚男性は社会的に孤立しやすいことが知られています。こうした男性が高齢になった場合、社会的コストも大きなものになります。

他方で、シングルの生活を前向きに生きる人もたくさん出ています。結婚はすべきものではなく、したいときにするもの。職業的な技能を高めて収入を確保し、地域とのつながりを維持しながら、ひとり暮らしをする人もいます。家族のあり方が、大きく変容したのが2000年代初めだといえるでしょう。

 

単身者1500万人の時代

総シングル時代に社会は激変する

 

2007年6月9日号の『週刊東洋経済』の特集「ひとりで生きる。」は、「シングル(単身者)が普通の時代」の到来を、雑誌としていち早く取り上げました。

単身化社会を迎えた地域のあり方を、①東京の多摩ニュータウン、②千葉県松戸市の常盤平(ときわだいら)団地、③東京都豊島区、の3つの地域から報告しています。

さらに30代から80代までの7人の独身者の生活を、「だから私はひとりを選ぶ」として、ひとり暮らしを前向きに生きる様子を伝えています。86歳女性が「こんなに長く生きるとは思わなかった」と述懐しながらも、ひとり暮らしを楽しんでいます。57歳女性が「離婚して正解だったと今でも思っています」というのも印象的です。

写真ルポとして、日雇い労働者の街・山谷(さんや、東京都台東区)の変化を描いています。日雇い労働者の高齢化が進み、生活保護者が増える一方で、安宿を求めて若者や外国人が新たな住人として流入。高齢者とワーキングプアの増加、そしてグローバル化が交差する東京の一断面を伝えています。

家族の変化を見つめた、07年の特集をご覧ください。

(週刊東洋経済プラス編集部)