実家の片付けの大変さは、体験した本人にしかわからない。本誌が独自に取材した実例を3パターンに分けて紹介しよう。登場人物こそ仮名だが、内容はすべて事実に沿っている。

まずは生前の片付けだ。親が健在なうちに片付けられれば、「何を捨てるか」「残すか」を相談でき、自分も親も双方納得できるはず──。

だが、親といえど自分とは違う人間。物に対する価値観がまるで違うこともある。親の生前に、片付けに手をつけた人々が見た現実とは。

[Case1]鈴木 勝さん(60代・男性)
根深い嫁姑問題が片付けを阻む やっかみ恐れ周囲に相談できず

妻の実家の片付けで苦労。自分の実家は親が健在なうちに片付けたいが、母が猛烈に拒否

イラスト:ほししんいち

昭和2年生まれの母が老人ホームに入居したのは2013年の暮れ。神奈川県に住む鈴木勝さん(仮名)は、戦後すぐに東京都目黒区に建てられた木造2階建ての実家の片付けに頭を悩ませている。

勝さんの父が亡くなって三十数年。母は足腰が弱り、一人暮らしを続けられなくなったが、服の入れ替えなど月1回のペースで自宅に戻る。

これに付き添う勝さんは頃合いを見計らって、「今のうちに家の中を整理しては」と母に持ちかけた。