COO(最高執行責任者)として指揮を執る中嶋成博社長。現状をどうとらえ、どのような将来展望を描いているのか。

富士フイルムホールディングス 社長・COO 中嶋成博
なかじま・しげひろ / 1948年生まれ。東京工業大学卒業後、73年に入社。足柄工場第三製造部長、蘭フジフォトフィルム社社長、富士フイルムヨーロッパ社長などを経て、2012年6月より現職。(撮影:風間仁一郎)

──現在注力している施策は? 

生産現場出身ということもあり、生産から販売まで現場力を強化する「Gアップ」という取り組みを行っている。これまでに国内外で5000人以上もの社員と顔を合わせ、経営の考え方を伝えている。

写真フィルム市場の急縮小を通じてわれわれが得たいちばん大きい学びは、どんなビジネス、どんな製品でもライフサイクルがあるということ。各事業部に対しては、その日の飯を食うことにリソースを費やすことも大事だが、つねに次の時代は何なのかを考える必要があると言い続けている。

そこで、市場のニーズを正しくつかむために、「オープンイノベーションハブ」という技術の展示スペースを設け、顧客と一緒に新製品を模索していく試みを始めた。

また、事業部ごとの縦割りだと、どうしてもほかの事業のことがわからなくなってしまい、事業と事業の間にある可能性を拾い損ねてしまう。昨年6月には、フラットパネルディスプレイ材料、産業機材、電子材料、記録メディアの各事業の上に、横断的な開発本部を作った。一つひとつの事業を深く掘り下げると同時に、広くいろいろな可能性をカバーしていくことにも取り組んでいる。

海外展開の取り組みも強化している。現状で60%程度の海外販売比率を今後4~5年で8割くらいまで引き上げていきたい。市場成長率の高い新興国は現地法人を増やし、若い人材を送り込んでいる。また、地域ごとにニーズは多様化しているため、地域に合わせたマーケティング、研究開発を行う体制にしている。

──今後の経営の方向性は。