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アマゾンの正体 知られざる出版革命

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鬱蒼(うっそう)としたジャングル。世界最大水量を誇る南米アマゾン川のような巨大流通帝国を築くことがアマゾン・コムの目標だ。そして、祖業の書籍販売では、出版業界の古い秩序を一変させようとしている。

本誌:倉沢美左、大坂直樹、山田俊浩

4年前までは株主資本がマイナスの債務超過企業だったことがウソのような躍進ぶりである。

便利なオンライン書店として日本でもすっかり定着しているインターネット小売り最大手のアマゾン・コム。この元祖“ドットコム”企業が、昨年秋以降の世界同時経済危機のショックをはねのけ、売り上げ成長を加速させているのだ。2009年4~6月期の売上高は前年同期比14%増を記録。2ケタ成長が途切れずに続き、次ページグラフのようにクリスマス商戦(10~12月期)の山はどんどん高くなっている。

“リアル”の小売りでは世界最大の小売業であるウォルマートが急成長をしている。低価格販売を可能にするシステムは、経済危機がむしろ追い風となる。同じような現象がネット小売りの世界でも起こっている。米国でのアマゾンは日本以上に、「安さ」を前面に押し出している。それはジェフ・ベゾス会長兼社長兼CEOの「最も顧客満足度の高い会社を目指す」というビジョンに基づく。最も魅力的な価格で提供することが顧客満足度を高め、そのことが取引を拡大させ、さらなる低価格化を可能にして、さらに顧客を引き付ける。この当たり前の成長サイクルを回し続けてきたのがアマゾン。景気後退の中で、回転速度がより速くなっているのだ。

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