明治大学経営学部教授 大石芳裕
おおいし・よしひろ●1952年佐賀県生まれ。九州大学経済学部卒、九州大学大学院経済学研究科博士後期課程中退。(撮影:今井康一)

BABYMETALの世界的な人気を、日本特有の文化が受け入れられた結果と解釈する向きがあるが、私は違うと思う。注目すべきは、ヘヴィ・メタルという国境を超えた共通性だ。世界に広がるメタルファンという基盤に新しいポジションを築き上げたことが、大きなヒットにつながったのだ。

メタルはもともとロックから派生したジャンルで、個々の国においてはロックよりも小さい市場だ。だがそれらを足し上げてみると、無視できないニーズがあるとわかる。BABYMETALは神バンドのすばらしい演奏で世界のメタルファンのニーズを満たしているうえ、ポップなメロディとダンスというユニークさがある。音楽ジャンルは融合しないのが原則という欧米市場で、融合という新しさを持ち込んだことが現地の音楽ファンに大きな驚きをもって受け止められた。

この点においては、BABYMETALが世界の音楽市場にニッチな存在として登場したことは確かだ。だがニッチだから支持された、と考えるのは本末転倒だ。かつてソニーのウォークマンがそうであったように、斬新な商品やサービスは市場に登場した時点においてはすべてニッチだ。なにしろ、そういうジャンルが存在しないのだから。