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自前主義に限界買収攻勢の始末 視界不良のオムニ戦略

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セブン&アイ・ホールディングス(HD)には、2005年の発足当初から一つのおきてがある。

事業会社の投資は自社が生み出すキャッシュフローの範囲内で行う、というものだ。グループの圧倒的な稼ぎ頭であるセブン‐イレブン・ジャパン(セブン)で稼いだ資金をほかの事業に使うことを防ぐために導入されたルールだ。

セブンは加盟店からロイヤルティを徴収することで成り立っているフランチャイズビジネスだ。セブンに支えられているセブン&アイHDの財布をほかのグループ企業にいいように使われては、コンビニの加盟店オーナーから反発を招きかねない。そうしたデリケートな事情への配慮ゆえの「ご法度」なのだ。

だが、M&Aには、この原則は適用されないようだ。この10年、HDは事業買収ラッシュだった。そして現在、一連の投資判断の妥当性に疑問が突き付けられている。米投資ファンド、サード・ポイントには、「イトーヨーカ堂の早急な縮小と再編」「そごう・西武、バーニーズ ジャパン、ニッセンホールディングスからの投資撤退」を求められている。祖業のヨーカ堂を除けば、すべてこの10年で傘下に収めた企業である。

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