小林 セドラチェクさんは『善と悪の経済学』の中で「成長資本主義」に懐疑を示しています。私もそれに同感です。日本政府は名目GDP(国内総生産)を2020年に600兆円にする目標を掲げていますが、その次は1000兆円を目指すというのでしょうか。GDPの無限の成長を前提にした議論には違和感を覚えます。

この本はメソポタミア、ギリシャ時代からの歴史や哲学、ユダヤ教やキリスト教などの宗教、心理学も含むトータルな人間学として経済学をとらえており、とても新鮮ですね。

セドラチェク 私は本の中で、人類が資本主義というより成長資本主義に走っていることに懸念を示しています。哲学書を読むことを日課にしている私は、経済学と、哲学などほかの学問領域を橋渡しする本を執筆したいと考えていました。経済学に関心を持つ皆さんに、哲学をはじめ歴史学、人類学などを身近に感じてもらえる内容を書いたつもりです。

現代の経済成長は借金が支えている

財政・金融政策の持続的効果は薄い
(撮影:今井康一)

小林 ギルガメシュ叙事詩から、ヘブライ(古代イスラエル)、キリスト教をめぐる歴史、理念の把握が見事です。ヘブライでは、時間は神が持つものであり、借金に利子をつけることに対して否定的だったという説明には、なるほどと思いました。ちょうど皮肉なことに日本は最近、マイナス金利政策を始めました。