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東芝 債務超過回避の危うい綱渡り 巨額の子会社売却益で最悪の事態回避を狙う

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東芝は原子力事業で約2600億円の減損を2016年3月期に計上すると発表した。この追加損失で債務超過に陥るおそれもあったが、巨額の子会社売却益で最悪の事態は回避しようとする。ただ、これ以上の財務悪化を食い止めるための売却益計上は問題含みだ。

昨年の不正会計発覚以後、経営再建の真っただ中にある東芝は4月26日、2016年3月期の業績予想を修正した。大きな要因は、米ウエスチングハウス(WH)を買収した際に資産計上していたのれん3300億円のうち2600億円を減損処理すると決めたことだ。

2月時点で3月期末の株主資本1500億円という見通しを示しており、今回の減損で赤字がさらに膨らむと債務超過に陥るところだった。

だが、同日に示した新たな見通しでは、期末の株主資本が3000億円(図1)と前回予想から2倍に増えた。なぜか。それは減損と併せて公表したもう一つの修正要因にある。医療機器製造子会社・東芝メディカルシステムズ(以下、TMSC)の売却益を5900億円計上し、最終赤字の見通しが従来の7100億円から4700億円に縮小するという見通しに変えたからだ。

[図1]
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東芝の室町正志社長にとって、債務超過は何としても回避しなければならない最優先の課題だった。

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