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アーバンライナーから始まった 日本の鉄道デザインは

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「アーバンライナー」から「しまかぜ」まで、数々の名車両を生んだ巨匠が語るデザイン論

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山内陸平・京都工芸繊維大学名誉教授(やまうち・りくへい)●1939年生まれ。京都工芸繊維大学卒。米イリノイ工科大学大学院(デザイン専攻)で学び、ジョージ・ネルソン事務所でハーマンミラー社のプロジェクトチームに参加。日本万国博覧会協会、高島屋設計部を経て、76年京都工芸繊維大学助教授。83年同大学教授。建築からインテリア、鉄道車両や家具まで幅広くデザイン活動をする。

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デザインとは「時代表現」である。

昨今は観光列車ブームで、その場限りのデザインがはやっているが、人間の造形感覚は環境の変化に合わせて変わっていく。昔はびっくりしたものが今は当たり前になってしまう。通常の鉄道車両は長期間使われることを前提にデザインされる。造る前から40年もの長い使用期間が決められる工業製品はほかにないだろう。

商業店舗は感性的にずれてきたら改装できるが鉄道車両はそうはいかない。時代の感性を表現するデザインはもちろん重要だが、40年間の使用を前提にデザインされなければならない。これが鉄道デザインの特殊性だが、あまり理解されてはいない。

すぐに色あせるデザインが多い昨今の傾向には困ったものだ。地球環境保全が叫ばれる中、デザインに求められるのは感性面での持続可能性である。40年といわず、もっと長く。

1985年、近畿日本鉄道のビジネス特急「アーバンライナー」のデザインを始めた頃、鉄道車両の世界でデザインはそれほど重視されていなかった。だからアーバンライナーの登場は驚きをもって迎えられ、それから鉄道車両のデザインが重要視されるようになった。30年近く経った今でも感性的にそれほどずれていないと思うのは自己満足かもしれないが、アーバンライナーは日本の鉄道車両デザインの嚆矢となったと思っている。

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