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『ダグラス・ノース 制度原論』『無差別テロ』 『「少子さとり化」』『「全体最適」マネジメント』

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ダグラス・ノース 制度原論
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Douglass C. North 1920〜2015年。ロナルド・コース、オリバー・ウィリアムソンと並ぶ新制度派の経済学者。経済史の分野に経済理論や数量分析を導入した功績で93年にノーベル経済学賞を受賞。著書に『制度・制度変化・経済変化』『経済史の構造と変化』など。

維持が重要視される 試行錯誤の可能な社会

評者 中央大学商学部教授 江口匡太

ノースは、経済が発展するうえで、所有権(財産権)が整備されることの重要性をいち早く主張してきた。人類が狩猟から農耕へ生活形態を変化させたことも、農耕という生産技術に注目がいきがちだが、重要なのは、農耕社会で所有権が整備されることによって経済成長を促す方向へ、人類のインセンティブが大きく変わったことだ。

狩猟の生活では、広い野山や海からほかの部族を締め出すことはできないが、農耕では狭い耕作地を囲い込むことができる。農耕へのシフトによって、他部族の収奪から自分たちの財産を守り、集団内部でのフリーライドを防ごうとする社会が形成され、それがイノベーションを促進し、経済成長を導くと考えられるのだ。このように経済成長を促すには制度の役割が極めて大きいという認識は、ノースの研究の後で広く共有されるようになった。経済史・経済理論研究の流れを変えた巨人の一人であり、この功績によってノーベル経済学賞を贈られている。

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