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新日本監査法人の前途 崩れ出した顧客基盤 核心リポート

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厳しい処分を受けたトップ監査法人。顧客企業には交代させる動きも。

大手監査法人に処分が下るのは、2006年以来のこと。旧中央青山の二の舞いは避けられるか

2月上旬、オフィス家具大手イトーキの社内では2015年12月末に迎えた本決算をめぐり、問題が起きていた。同社は東京五輪に向けたオフィス再開発需要の波に乗り、営業利益は43億円(前期比74%増)と好調な業績だった。ただ、決算業務を進める中で、繰延税金資産の計上にミスがあることが発覚。2回にわたって当期純利益を修正する羽目になった。

原因は経理部門にあったが、監査を担当する新日本監査法人も見逃した。同社と新日本監査法人の付き合いは前身の太田昭和監査法人時代も含めて30年以上に上る。

3月22日の株主総会で退任したイトーキの細田久雄・元常勤監査役は、「長すぎる契約が、緊張関係を毀損したのではないか」と問題視。これまでの監査に不満はなかったものの、「一連の計算ミスで緊張感が緩んでいることが表面化した」(同)として、交代を決めた。後任は上場子会社ダルトンと同じ、あずさ監査法人とした。

金融庁が新日本監査法人に対して、東芝の不正決算を見逃したことに加え、法人の運営方法に問題があるとして、行政処分を下したのは15年12月22日のこと。同法人に対して、課徴金21億円、3カ月の新規業務の受け付け停止、業務改善命令という、重い行政処分を下した。

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