やすなが・たつお●1960年生まれ。83年東京大学工学部卒。同年三井物産入社。主にエネルギープラント畑を長く歩み、2010年に経営企画部長。13年に執行役員。15年から現職。「32人抜きの社長抜擢」が話題に。

総合商社の双璧、三井物産と三菱商事は、共に2016年3月期に初の連結最終赤字に転落する。資源関連で巨額損失を余儀なくされたためだ。とりわけ三井物産は資源事業への依存度が高く、非資源事業の強化が急務だ。苦境からの反攻作戦をどう考えるか、安永竜夫社長を直撃した。

──赤字見通しを発表した3月の会見では、危機感を強調しました。

三井物産にとっては未曾有の危機だと感じている。業績予想の下方修正を発表すると同時に、社内には「今までのビジネスモデルに安住していたままでは将来はない」というメッセージを発した。

確かに以前より自己資本は厚くなっているし、17年3月期も3500億円前後のキャッシュフローは出てくると予想している。しかし、原油価格の回復に時間がかかる中で、業績の急回復は見込めない。そんな前提で、今後の計画を作っていかなければならなくなった。

本社の管理が強まり 強みの現場力が落ちた

社員一人ひとりが目標を実現するため、当事者意識を持って仕事をやっていくしかない。当社はもともと、部店独立採算制(国内外の支店それぞれが収益責任を負う、三井物産の採算管理制度。04年に廃止)の下で現場が強く、一騎当千の兵がそろっているのが魅力だった。だが不祥事もあって、近年は本社での内部統制を強く意識してきた。