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年輪経営の師匠は“寒天の父" 章男社長が教えを請う理由

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塚越 寛 伊那食品工業 会長
豊田章男社長が強調する「年輪経営」。その師匠はアルプスを望む長野の小さな町にいた。

つかこし・ひろし●1937年長野県生まれ。伊那北高校在籍中に肺結核を患い中退。その後入社した木材会社社長に命じられ、58年「社長代行」として伊那食品工業入社。83年社長就任、2005年から現職。趣味は写真撮影

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「屋久島の杉のように、毎年毎年一つずつ年輪を重ねていくことこそが持続的成長につながる」

トヨタ自動車が過去最高益を更新した2014年3月期。その決算会見の場で豊田章男社長は「年輪」という言葉を8回も繰り返した。樹木が生長して太くなるにつれて刻まれていく同心円状の輪。企業が少しずつ、しかし着実に成長するさまを章男社長はこの言葉に重ねた。

同時に、「ある時期に急激に年輪が拡大したことで、幹全体の力が弱まり折れやすくなっていた」と、リーマンショック前の急速な事業拡大への反省も口にした。

トヨタ関係者が続々「伊那詣で」に

アルプスの山あいに位置する長野県伊那市。林に囲まれた自然豊かな土地に伊那食品工業の本社がある。「かんてんぱぱ」ブランドで知られる寒天メーカーだ。

同社の塚越寛会長が09年に出版した『リストラなしの「年輪経営」』は、章男社長の愛読書だ。経営の師として直接「いろいろなことを学ばせていただいている」(章男社長)。

「いい会社をつくりましょう」。伊那食品の敷地内にある石碑にはこう刻まれている。「うちの会社がいちばん大事にするのは社員の幸せだから」と塚越会長は社是に込めた意味を説明する。「人間が生きる目的は幸せを求めることでしょ。その手段として会社は大きなもの。だから会社は潰れたらいかん。いつでも右肩上がりがいいし、社員の整理解雇はダメ」。

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