会社員の老後を左右する企業の年金運用にも、マイナス金利の副作用がジワリ襲う(撮影:尾形文繁)

「3月末の金利がどこまで下がるか次第。現時点で影響がどのくらいかを測るのは困難だ」

大和ハウス工業の経理担当者は困惑顔で懸念を示す。同業である住友林業も、マイナス金利が導入された早々から期末の金利動向を気にしつつも、影響を見極めることができず、戸惑いを隠さない。

なぜか。金利、特に長期金利の低下が、業績の押し下げに直結する可能性が高いからである。経路はこうだ。

退職給付会計では、企業は将来支払うことになる退職金や年金の支給額を、あらかじめ積み立てておく必要がある。ただ将来発生する額を現時点で100%積む必要はなく、今後得られる収益や年金資産の将来における価値を現在価値に換算した額(退職給付債務)を、積んでおけばよい。その現在価値を計算する際に使われるのが「割引率」だが、これが20年物国債の利回りにほぼ連動している。

上場企業約3600社のうち、過去10年間にわたって割引率を継続して比較できるのは1343社。それらの平均を取ると、特に2003年度以降、割引率と20年物国債利回りとは、高い相関性がみられる(図1)。各社は割引率を主に長期国債の利回りを参照にして決めているためだ。