移民からみるアメリカ外交史
移民からみるアメリカ外交史(白水社/270ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Donna R, Gabaccia●カナダのトロント大学歴史学教授。2005~12年米ミネソタ大学移民史研究センター所長。08年米社会科学史学会会長。移民史を中心にジェンダー、階級、労働、食文化など多岐にわたる分野で著作多数。本書でセオドア・サロートス記念出版賞受賞。

グローバルな視点から移民問題を見よと説く

評者 東洋英和女学院大学教 授中岡 望

移民・難民問題が国際的な問題になっている。欧州諸国はシリアからの大量の難民流入に苦慮している。米国では有力な大統領候補のドナルド・トランプ氏がメキシコからの非合法移民を阻止するためにメキシコとの国境に壁を作ることや、イスラム教徒の入国禁止を主張して議論を巻き起こしている。

本書は米国の移民政策を取り上げたもので、時宜を得た出版となっている。米国は移民の国であり、移民を積極的に受け入れてきた国と見られている。また国家の成り立ちから政治亡命などに寛容であった。かつて米国社会を「メルティング・ポット」と表現していた。すべての移民は「坩堝(るつぼ)」の中で溶け合って“米国人”になり、祖国のアイデンティティを失っていくという意味である。その後、移民も祖国のアイデンティティを維持しながら社会の中で共存するという意味で「サラダボウル」という言葉が使われるようになった。