【今週の眼】佐藤主光 一橋大学教授
さとう・もとひろ●1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

ふるさと納税がブームだ。制度が始まった2008年度は納税額80億円、件数は5万件ほどにとどまっていたものの、14年度には約390億円、約206万件に増加。15年度は4~9月だけで約453億円、約228万件に上っている。

ふるさと納税は納税者が生まれ育った故郷への恩返しや応援したい自治体を選ぶことができる制度である。寄付金のうち2000円を超える部分について、所得控除に加えて住民税の2割を上限に「特例控除」で全額が減税される。給与収入500万円の単身世帯であれば、この特例控除の上限は6万7000円となる。上限を超えた部分も所得の一定割合まで所得控除が利く。

ふるさと納税が進めば、納税者の多くが居住する都市圏から地方圏への税源の再分配(格差是正)になること、自治体間で切磋琢磨して魅力ある町づくり、地方の活性化につながることが期待されている。しかし、実態は少々異なるようだ。自治体の多くは特産品で返礼している。高額な寄付ほど返礼品の金額も高くなる。中には高級な和牛やパソコンを返す自治体まである。返礼品の種類で納税先を選べるサイトや、ふるさと納税で生活用品を取り寄せるガイドブックもある。つまり、納税者は恩返しや応援ではなく返礼品目当てにふるさと納税をしており、自治体も政策ではなく返礼品でアピール合戦しているのが現状だ。