有料会員限定

中国情勢の理解には歴史的な視点が必須 中国の歴史と社会

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
拡大
縮小

梶谷 懐 神戸大学大学院教授

かじたに・かい●1970年生まれ。神戸大学で博士号(経済学)取得。神戸学院大学経済学部准教授などを経て2014年より現職。専門は中国の財政、金融。(撮影:今井康一)

特集「年末・年始に読みたい15冊」の他の記事を読む

めまぐるしく変化する現代中国の情勢を理解するために、まずは歴史的な視点を身につけたい。中国社会の表層的な変化に目を奪われることなくニュースや新聞報道の背景を読み解くには、「変わらない部分」を常に意識しておく必要があるからだ。

内藤湖南や宮崎市定による優れた通史が岩波文庫から復刊されているが、なにぶん書かれた時代が古い。その点、著名な人物が織りなす政治史と社会の変化をとらえた経済史のバランスがよい『中国の歴史』は、現代の古典である。この『中国の歴史』が概論なら、『近代中国史』は、中国の社会経済的な構造の解明に特化した各論である。中国社会の「変わらない部分」に関する豊富な知見がわかりやすくコンパクトにまとめられており、現代中国に関心がある人も興味深く読めるだろう。

中国の歴史 (ちくま学芸文庫)
中国の歴史 (ちくま学芸文庫)(筑摩書房/352ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
近代中国史 (ちくま新書)
近代中国史 (ちくま新書)(筑摩書房/288ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

『満州事変から日中戦争へ』は、日中はなぜ戦争に至ったのかという問題を「条約と国際法の解釈をめぐるすれ違い」という観点から読み解く。中国への対応を誤り、国際的に孤立した当時の日本外交から、反面教師として学ぶべき点は多い。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内