「この3年で、日本を覆っていた暗く重い沈滞した空気を一掃できた」。9月下旬、安倍晋三首相は自由民主党総裁に再選された直後の会見でこう語り、アベノミクスの新しいスローガン「一億総活躍社会」を打ち出した。

安倍首相が、日本経済が停滞から脱出した証左として挙げるのが、雇用の改善と賃金の上昇、そして企業倒産件数の大幅な減少だ。

確かに会社更生法など法的整理に基づく倒産は、件数・負債額とも減り続けている(図1)。今年1~10月の累計は7134件と、前年同期に比べ9.2%減。通年でも昨年を下回るのはほぼ確実で、1989年(7234件)、90年(6468件)に並ぶ水準となる。

[図1]
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直近で件数が少なかったのは2000年の6734件だが、この年はそごうや第一ホテルなど上場企業の大型破綻が相次ぎ負債額が膨らんだ。実質的には今年は25年ぶりの無倒産状況にあるといってよい。

しかし、倒産件数の少なさは本当に日本経済の力強い回復を示しているのだろうか。

金融倒産の定理が機能不全に陥っている