【今週の眼】三品和広 神戸大学大学院教授
みしな・かずひろ●1959年生まれ、愛知県出身。一橋大学商学部卒業。同大学大学院商学研究科修士課程修了。米ハーバード大学文理大学院博士課程修了。同大学ビジネススクール助教授、北陸先端科学技術大学院大学助教授などを経て現職。著書は『戦略不全の論理』など多数。(撮影:梅谷秀司)

東芝の粉飾決算が波紋を呼んでいる。現経営陣に対する監督体制を強化すると同時に、旧経営陣と監査法人にペナルティを科して幕引きとなりそうな情勢だが、事後処理をめぐる日本の動きは恥の上塗りに思えて仕方ない。何のための事後処理かわからないからである。

思い起こしてみれば、東芝の前にもカネボウやオリンパスの粉飾決算で大騒ぎになったことがある。それぞれ社長の逮捕に発展したが、東芝の一件を見れば、処罰が何の抑止効果も持たなかったことは火を見るより明らかである。カネボウに先んじて米国ではエンロンとワールドコムの粉飾が露呈したが、その後は類似案件の再来を見ていない。

日本の問題は「トカゲの尻尾切り」にある。カネボウの粉飾は1977年に端を発したとされており、その当時の社長が92年まで会長の座にあった。ところが、この人物を訴追することなく、98年に社長に就任した別人を逮捕して、2006年に有罪判決が確定した。そこで幕引きである。