ステンレス製のモヤシ栽培容器を前にポーズ。容器の深さは1メートル50センチほどある。種をまいて暗所で8~9日すると収穫となる(撮影:梅谷秀司)

「競争相手は同業他社ではなく、時代の変化です」 岐阜県の東端、恵那山のふもとに位置する中津川市に本社を置く、モヤシ生産・販売大手「サラダコスモ」の中田智洋(なかだ・ともひろ)社長(65)は口癖のように唱える。

同社のモヤシの生産規模は国内トップクラス。これに加えて「発芽野菜(スプラウト)」と呼ばれるブロッコリーやオクラ、えんどう豆などの新芽も工場で大量生産している。30年ほど前から室温や水、安全の管理面で近代的な設備が整う工場で野菜を生産し、「元祖野菜工場」とも呼ばれる。

人口減少でモヤシの国内市場も確実に縮小する。しかし、「モヤシを食べる文化があるアジアに進出すれば、売上高は今の10倍以上の1000億円も夢ではない。世界一の野菜生産者になれる」と中田は意気込む。

中田はいつも未来の話を好む。「初めて会った人はきっとホラ話だと思いますよ」。海外出張の多い中田は、機内での時間を「内観」に充てる。内観とは仏教用語で、自分の心の中を深く見つめることだ。この内観のときに、経営の方向性も練り、思いついたことがあれば手帳にメモする。