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日本はドイツの轍(てつ)を踏むな 再生エネルギー

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朝野賢司 電力中央研究所社会経済研究所 主任研究員 

脱原発と再生可能エネルギー導入を掲げるドイツ。だが、弊害も出ているようだ。現地の事情に詳しい電力中央研究所の朝野賢司氏に聞いた。

あさの・けんじ●1974年生まれ。2006年京都大学大学院にて地球環境学博士号を取得。産業技術総合研究所バイオマス研究センターを経て07年電力中央研究所入所。一橋大学特任講師を兼任。(撮影:今井康一)

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──ドイツは2022年までに原発ゼロ、25年に再生可能エネルギー(再エネ)の割合を40~45%に引き上げる計画です。

ドイツの再エネ政策の最大の問題は、コストの高い太陽光を入れすぎたこと。FIT(固定価格買い取り制)により再エネは大きく伸びたが、ドイツの電気料金は世界最高水準となってしまった。

FITとは、政府が電力会社に再エネで発電された電力を、20年間など長期に優遇する固定価格で買い取ることを義務づけ、その費用を電気料金に上乗せする制度だ。安定した買い取りが保証され、事業への投資がしやすくなるため、再エネの普及を促すとされる。

ドイツでは00年に現行のFITが導入され、1999年に5%にすぎなかった再エネ比率は14年に25.8%と5倍以上に増えた。しかし、電気料金支出に占める賦課金の割合は、家庭で0.5%から21.4%に、産業で1.0%から40.8%に急増している。この結果1キロワット時当たりの電気料金は、家庭が29セント(約39円)と、日本の1.5倍に達している。

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