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政治学者 白井 聡 永続敗戦論で颯爽(さっそう)と登場 現実社会を大胆に論じる

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『永続敗戦論』は日本の対米従属の姿をえぐり出した。若き政治学徒の出発点はレーニン研究。レーニンと現代日本に通底する課題とは。

毎月、早大の院生を中心に自主ゼミを開講している。多忙な中でも、若者との接点を大事にしている(撮影:梅谷秀司)

「彼にはディフェンスがない。アウトボクシングじゃなくて、いきなりインサイドでがんがん打っていく。痛快です。久しぶりにこういう若者を見たな、という感じです」 こう語るのは思想家の内田樹だ。彼とは白井聡(しらい・さとし)のこと。白井の言論スタイルをボクシングに例えての評価である。内田にとって白井の登場は鮮烈だったと語る。

「アカデミズムの分野で順調にキャリアを伸ばしてきた人って、ある程度ポジションが固まるまで、人にかみつくようなことは自制しがちだ。失敗したくないものだから。いろいろ腹に含んでいることはあっても、表向きは無難なことを言ったり、韜晦(とうかい)してよくわからないことを言ったり。そういう小ずるく立ち回るようなタイプが若い学者の趨勢(すうせい)だなと思っていたところに、白井さんが登場しました」 

2013年3月、白井の評論『永続敗戦論』の登場は一つの事件だった。戦後レジームからの脱却を掲げる安倍晋三内閣が、現実には手放しでの対米従属政策を推し進めている。奇妙なねじれを感じる人は少なくない。そこに現れたこの本は、ねじれの根源に迫るものだった。白井への注目が高まった。

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