日本たばこ産業 副社長 新貝康司 しんがい・やすし●1956年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。80年日本専売公社(現JT)入社。2004年執行役員財務責任者、05年取締役。11年から現職。M&Aのエキスパート。著書に『JTのM&A』。

JTが新たに6000億円を投じた真意はどこにあるのか、日本市場でナチュラル・アメリカン・スピリット(以下、アメスピ)のシェアを伸ばし、買収価格の割高感を払拭することはできるのか。JTで数々のM&Aを成功させてきた同分野のエキスパート、新貝康司副社長に勝算を聞いた。

──事業規模に比して買収額が割高であるとの声があります。

小さい買収も含めると2007年以降、われわれは10回の買収をしているが、これまでの買収はEV/EBITDA倍率のような利益に対する指標を用いて評価されてきた。ただ今回は、年率35%で売り上げが伸びている会社を買った。そのような会社を過去の実績で測ることは必ずしも妥当ではない。

アメスピは成長過程にあるベンチャーのようなもの。小粒だが、独特の世界観を持ち、天然や無添加といったコンセプトがお客様に支持されている。たばこは機能よりも、情緒的にお客様と結び付いているものが強い。(アメスピを販売している)サンタフェナチュラルタバコの日本法人は社員約150名の企業だが、直近では1・3%の市場シェアを持つ。これは驚異的な数字だ。