ドイツ経済減速、難民問題、VWの排ガス不正問題とかつてない苦境に立たされるメルケル首相(ロイター/アフロ)

欧州中央銀行(ECB)が今年3月に本格的な量的緩和を開始したことで、ユーロ圏はデフレ入りの危機を回避した。

以後、力強さに欠けつつも順調な景気回復を続けてきたが、域内最大の経済規模を誇るドイツに目下、不安が広がっている。8月の製造業受注、鉱工業生産、財輸出は軒並み前月から大幅に落ち込み、企業活動に急ブレーキがかかっている(図表1)。

[図表1]
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こうした減速はドイツの夏場に大きくなりがちな統計上の振れによる一時的なものであるとの見方もある。ただ先行指標の受注統計が7月に次いで8月も減少しており、9月の反発に過大な期待を寄せることはできない。非ユーロ圏向けの輸出受注に至っては7~8月累計で13%以上も減少しており、新興国景気悪化の影響が確認できる。

ユーロの実効為替レートも徐々に上昇しているうえ、9月中旬には独自動車大手による排ガス不正問題が発覚するなど、ドイツ企業を取り巻く環境はますます厳しくなっている。市場参加者の半年後の景況感を指標化する「ZEW景況感指数」によれば、今月は好不況の分岐点であるゼロを割り込む寸前まで急落した。排ガス不正問題の影響は、対象車種や企業の売り上げ減少程度にとどまれば、ドイツ経済全体に及ぼすほどのインパクトはない。ただし新興国の減速は、企業業績悪化を通じてドイツの景気全体の重荷になるおそれがある。そうなればほかのユーロ圏諸国も無傷では済まされない。