「文系軽視は誤解」。文部科学省は火消しに躍起となった(撮影:今井康一)

「国語力の問題だ。32点しかつけられない」。10月9日、新たに就任したばかりの馳浩文部科学相は、そう言い放った。

馳氏が酷評したのは、6月に文科省が国立大学向けに通知した、「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」という文書に書かれた一文だ。教員系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院について、「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする」とある。

これに対して多方面から、「文系軽視ではないか」といった猛反発が湧き起こった。日本の科学者で構成される日本学術会議は7月に、「人文社会科学の軽視は、大学教育全体を底の浅いものにしかねない」と、異を唱える声明を出している。

思わぬ反発に、文科省は釈明に追われた。

「廃止」とは、教育系学部の中で教員免許の取得を卒業の条件としていない、「ゼロ免課程」を指す。廃止で生じる教員や学生の定員を、新技術の発明や環境対策といった研究分野、独自の新設学科に振り向けることが改革の主眼だった。反発が出た背景について、「これまでの改革が多岐にわたり、整理がついていないため」(小林浩・リクルート進学総研所長)との指摘がある。

今回の通知のベースとなったのは、文科省が2012年に発表した「大学改革実行プラン」。教育の質的転換や入試改革、ガバナンス強化などが盛り込まれたものだ。国立大に対しては、学長の権限を強化するほか、大学の強みや特色、社会的役割などの再定義を求めている。