有料会員限定

GMS撤退戦が始まる イトーヨーカ堂は40店閉店へ

✎ 1 ✎ 2
拡大
縮小

首都圏総合スーパー(GMS)の雄、イトーヨーカ堂が大量閉店を決めた。「GMSの時代は終わった」。流通業界の定説がいよいよ現実局面へ移ってきた。

(本誌:田野真由佳、冨岡 耕、堀川美行)

「GMS(総合スーパー)はもう浮上しないのではないか」。セブン&アイグループ会社の元役員はため息を漏らす。

GMSは日本の流通業の中核を担ってきたが、コンビニエンスストアや専門店の台頭で、年々その影は薄くなっていた(図1)。出店ペースの抑制や既存店の活性化という防御策でしのいできたGMSが、事実上の「撤退戦」の局面へ移行するのかどうか。その意味で、今注目を集めているのが、イトーヨーカ堂だ。

[図1]
拡大する

特集「GMS撤退戦が始まる」の他の記事を読む

ヨーカ堂は100年近い歴史を誇り、GMSのトップに君臨してきた。その同社が今後5年間で全店舗180店の2割に当たる40店を閉鎖することを決めたのである。

セブン–イレブン・ジャパンを抱える、セブン&アイ・ホールディングス(HD)のアキレス腱はヨーカ堂である。2015年度上半期でHDは過去最高の営業利益を3年連続で更新したが、その中でヨーカ堂は90億円の営業赤字に転落していた。

上期の赤字は5年ぶりのことだ。衣料品の在庫をさばくためのセールで採算が悪化したことや、約20店で実施した食品売り場の改装に伴う経費のかさんだことが響いた。HDの村田紀敏社長は、「消費者が価格に敏感になっているのに、優位性を出せていなかった」「(過去にもいろいろやってきたが)まだまだ改革が進んでいない」と肩を落とす。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内