「文章読本」の類いは役に立たないと言う。貴志流実践的な作法とは。

エンタテインメントの作り方
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──小説を書きたい人が増えているのですか。

ここ10年ぐらい、かつてないほど盛り上がっている気がする。ワープロで書け、ネット上で発表できるので、かなり執筆のハードルが下がったようだ。

──ご自身は日本経済新聞夕刊に連載小説『擁壁の町』を掲載中ですね。

新聞小説というのは初めて。原稿渡しがギリギリになって、特に挿絵の浅賀行雄さんには絵を描く時間があまりなく迷惑をかけている。完結は年末になりそうだ。

掲載が夕刊なので読者の家族も読む。ファミリーで楽しく読める内容となると、きついホラーはやりにくい。ガチガチの謎解きでは説明が延々となり、毎回の新聞掲載の長さではぶち切られて、何が何だかわからなくなってしまう。本格ミステリも難しい。サスペンスかユーモアのかかった群像劇か、結局後者に落ち着いた。

──芸域を広げようと? 

今まで人の死なない小説を一作も書いていない。死に方もみな殺されている。今回はどうするか。殺さないつもりでいる。ただ、作劇の都合上、これから殺さなければならなくなるかもしれない。手の内をばらすようだが、できれば終わったときに登場人物がみな生きていてもらいたいと思う。