表参道かいわいのペンシルビルは数十~数百億円規模と「手頃」で、投資が過熱しやすい(撮影:尾形文繁)

上り坂はまだ続くのか、それともすでに峠を下り始めているのか──。不動産市場は今、投資家から方向感覚を奪うような薄もやに包まれている。

国土交通省が9月に発表した基準地価(7月1日時点)。都内は全用途平均で3年連続の上昇を記録した。都内最大の伸びを示したのは東京メトロ表参道駅に近い、港区南青山5丁目だった。一帯にひしめく高級ブランド店は、中国人観光客による「爆買い」などインバウンド需要で連日活況を呈している。店舗需要を受けた賃料上昇を背景に、この地点の上昇率は20.2%に達した。

不動産投資の奔流は東京市場に飽き足らず、地方大都市にも流れ込んでいる。JR名古屋駅前の名駅3丁目は45.7%と全国一の伸び。付近では2027年のリニア中央新幹線駅開業を織り込んだ再開発が進み、オフィス・商業施設の需給が膨らむ。名古屋・大阪とも商業地は3年連続で上昇した。

[図1]
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[図2]
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緩やかな景気回復と空前の金融緩和、そして円安。こういった要素に後押しされて、商業不動産への投資額は07年のミニバブル期に迫る勢いで膨らみ(図1)、資産価格の上昇を引き起こしてきた(図2)。過熱感の指摘はあるものの、直近の不動産仲介大手ジョーンズ ラング ラサール(JLL)の予想では15年も投資額が最大5.5兆円に上り14年を超過するとされ、投資の急減速は確認されていない。