私にとって大切な存在であった。追っかけおばあちゃんの、鈴木雅子さんが亡くなった。98歳4カ月だった。岐阜県恵那市岩村町に住んで、私の“追っかけおばさん”のリーダーだった。岩村町は江戸時代“文教”を藩政(藩主は松平氏)の柱にしている。藩校・知新館の創立も古く、藩政時代には幕府大学頭林述斎と、昌平坂学問所教授・佐藤一斎を出している。明治には藩儒平尾氏の娘下田歌子が、女子教育の先達として名を高めている。

岩村城は女城主の時代があったという。その伝説を保持し現在も女優の渡辺美佐子さんを城主としている。城に達する家々は、それぞれのれんを表札代わりに下げ、その家の女性の名を代表として染め抜く。女性優位・女性主導の雰囲気が漂う。

鈴木雅子さんは長男の隆一さんが市の教育委員を務めており、高齢でもあるのでおそらく町の女性たちのリーダーだった、と思う。市では「下田歌子賞」を設けて毎年全国から、小中学生・高校生・一般から作文を募集する。「親」「友だち」「ふるさと」などが課題だ。

私はその審査委員長なので入選者発表会には極力出掛けていく。半分はおっかけおばさんたち、特に雅子おばあちゃんに会いたいからだ。