8月11日の切り下げ以降、人民元相場への注目が高まっている。人民元相場と中国人民銀行の金融政策運営の関係を読み解くうえでは、「国際金融のトリレンマ」の基本に沿って考えると、論点を整理しやすい。

「国際金融のトリレンマ」とは、国際金融において、「独立した金融政策」「自由な資本移動」「安定した為替相場」の三つを同時に実現することはできないとする命題である。

過去の中国は「自由な資本移動」を封印したうえで、「独立した金融政策」と「安定した為替相場」を確保する道を歩んできたが、近年では「自由な資本移動」を徐々に認める傾向にあった。これは三つの総取りともいえる状態だった。だが、結局は「独立した金融政策」と「安定した為替相場」の両立が難しくなり、大幅切り下げに至ったのである。トリレンマの制約は重い。