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五輪エンブレム問題に見る行動規範の欠如 職場で実践できる「中期分析」の方法(3)

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使用中止を受け、佐野研二郎氏デザインの五輪ポスターをはがす作業員。その判断には中途半端な処理で事を済まそうという意図がのぞく。(時事)

さて、上司の行動様式の第2のタイプとして挙げられるのが、自分が処理しなくてはならないことをまったくしないか、または中途半端にしかしない人だ。最近起きた、興味深い事例について考察してみよう。

9月1日、デザイナーの佐野研二郎氏が制作した2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムについて、著作権を持つ大会組織委員会が使用を中止して取り下げることを決めた。同日、佐野氏も自ら取り下げる意思を表明するコメントを発表した。そこで佐野氏は「模倣や盗作は断じてしていないことを、誓って申し上げます」と強調した。

それにもかかわらず、佐野氏はエンブレムを取り下げる決断をし

た理由について、自らが置かれた状況を挙げる。〈残念ながら一部のメディアで悪しきイメージが増幅され、私の他の作品についても、あたかも全てが何かの模倣だと報じられ、話題となりさらには作ったこともないデザインにまで、佐野研二郎の盗作作品となって世に紹介されてしまう程の騒動に発展してしまいました。/自宅や実家、事務所にメディアの取材が昼夜、休日問わず来ています。事実関係の確認がなされないまま断片的に、報道されることもしばしばありました。/また、私個人の会社のメールアドレスがネット上で話題にされ、様々なオンラインアカウントに無断で登録され、毎日、誹謗中傷のメールが送られ、記憶にないショッピングサイトやSNSから入会確認のメールが届きます。自分のみならず、家族や無関係の親族の写真もネット上にさらされるなどのプライバシー侵害もあり、異常な状況が今も続いています。〉(9月1日「朝日新聞デジタル」) 

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