【今週の眼】早川英男 富士通総研エグゼクティブ・フェロー
はやかわ・ひでお●1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)

今年度の経済財政白書が公表された。四半世紀ぶりの良好な経済状況と好循環の実現を強調しているが、その直後、4~6月期のマイナス成長が明らかとなったのは強烈な皮肉であった。

白書で内閣府が描いたのは、おおむね次のようなストーリーだ。1.大胆かつ大幅な金融緩和で円安・株高が進んだ。2.その下で企業業績は好調であり、景気も消費増税を乗り越えて拡大した。3.その結果、労働需給は引き締まり、物価もデフレから脱却しつつある。特に、「四半世紀ぶりの成果」が誇示されるのは、主として失業率が3%台前半まで下がり、完全雇用が達成されたことを念頭に置いたものだろう。

確かに、この指摘の多くは首肯できるものだ。8月からの中国ショックでかなりの水準訂正となったが、以前に比べればまだ十分に円安・株高だといえる。上場企業では最高益更新が相次いでいる。消費者物価上昇率は見掛けゼロ%だが、原油安によるエネルギー価格値下がりを除けば、着実に1%へ近づいている。