韓国が非武装地域で拡声器を使用し、政治宣伝放送を行ったことで北朝鮮との戦闘開始が懸念された8月の危機は、両国の高官協議により解決に至ったもようだ。だが金正恩(キムジョンウン)率いる北朝鮮の将来に関し、不安はいまだに残っている。

金正恩の振る舞いは、彼の父・金正日(キムジョンイル)と祖父・金日成(キムイルソン)の行動を踏襲するものだ。明確な理由なしに危機を作り出し、それを終わらせるための見返りを期待する。ただ今回の危機で彼が得たものはわずかだった。

朝鮮半島の伝統では、一家の財産を3代目の末子に委ねるのは、冒険的な考えともいえる。彼の父・金正日は、金日成の跡を守るために奮闘していた。金正恩は、一家の事業を管理するうえでさらに大きな困難を抱えていると思われる。

同国の経済は混乱を極めており、農業の基盤に現代の工学やテクノロジーがまったく取り入れられていないことから、気候変動の影響を受けやすくなっている。あらゆる国々で退廃していった共産主義体制と同様、北朝鮮政府は集団農場の収穫物の対価を支払う体制を構築できていない。

中国は実質上、この小さな近隣国と手を切っている。ロシアは新しい同盟国を得る機会をうかがいながらも、弱体化する自国経済の管理に必死で、タダで何かを得ようとする国との友好関係を修復することに興味を示していない。

金正恩の指導者としての特徴の一つは、北朝鮮における核兵器開発計画の中止を求める交渉に対して無関心だったことだ。核兵器を搭載できる弾道ミサイルの開発に注力し、多額のカネを投じてきた。