かわかみ・ともこ●早稲田大学ビジネススクール教授。精密機器メーカーを経て神戸大学大学院で博士課程修了。日本商業学会理事、日本マーケティング学会常任理事。(撮影:今井康一)

マーケティングの第一人者フィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』をはじめ、多くの教科書に出てくる典型的な欧米企業のマーケティングは「R─STP─4P」という一連のプロセスで進められます(図表1)。

[図表1]
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マーケティング部門がマーケティングリサーチ(R)を行い、市場の情報を収集、分析。この結果に基づき、市場を細分化し(セグメンテーション:S)、ターゲットを絞り込んで(ターゲティング:T)、製品を差別化(ポジショニング:P)します。この基本戦略を基に製品、価格、流通、販売促進の戦略の組み合わせを考えるマーケティングミックス(Product、Price、Place、Pro-motionの頭文字を取って4P)を策定し実行に移すという流れです。

一方で、典型的な日本企業にはマーケティング部門は設置されず、その機能は商品企画や広告宣伝、営業などの部門に分散しています。強い権限を持つCMO(マーケティング最高責任者)がいないため、製品、価格、流通、販売促進のどこに力点を置くかという戦略に、どの部門が力を持っているのかが反映される傾向があります。