はっとり・やすひろ●横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院准教授。神戸大学博士。組織と個人の関係を研究。2013年から現職。採用を科学する採用学を提唱。(撮影:大澤 誠)

採用に関する研究は、欧米では1950年代から、主に産業心理学の分野で進められてきました。人の流動性が高いため、早くから採用の重要性が認識されていたのです。

欧米では採用を二つに分けます。求職者との関係をいかに作るかというリクルートメントと、個人の能力を測るセレクションです。前者では採用の各段階で、求職者の重視する要素が変わることが知られています。就職活動が始まった段階では会社や面接官の印象を重視しますが、内定前の段階になると総合評価に変わります。また優秀な学生ほど、採用プロセスが合理的で不備がなかったかを重視するといわれます。優秀な人ほど、相手のあらが見えるということですね。

後者については、2000年代半ばに決定的な研究が出ています。企業の採用手法のうち、どれが最も将来のパフォーマンスを予測するのかについての研究です。

いちばん効果的な採用手法は、仕事のサンプルをやらせることです。欧米ではインターンではなく、ワークサンプルというテストとして認識されています。次が適性や論理性、数学的思考力などを見るテスト、そして面接です。採用時の点数と将来のパフォーマンスの相関を最大で1とすると、ワークサンプルは0.54、テストと面接は同じ0.51でした。

ただ欧米の面接は、求職者のある能力を測るためにこの質問を何分間する、といったことが明確に決められた「構造化面接」です。日本の面接とは違うことに注意が必要です。16年春採用で企業行動に変化も それでは日本ではどんなことがいえるでしょう。まず大学の偏差値による差は現在も明らかに存在します。やはり学歴は無視できない。また大学時代の活動量が多い学生ほど、内定を得やすいという傾向もあります。活動のポイントは、その内容より人脈構築です。さらに就職活動を始めた時点で、企業理念や業務内容など、企業の本質を重視する学生ほど成功している。逆に、この製品が好きだからといった消費者目線だけでは、採用にマイナスに働くことがわかってきました。