ことさか・まさひろ●立命館大学経営学部准教授。慶応義塾大学環境情報学部卒、英オックスフォード大学大学院経営学研究科で博士号。2013年から現職。(撮影:尾形文繁)

企業のグローバル化が加速する中、国際化戦略は経営学の注目分野の一つです。国際経営のトップランナーとして私が今、認識している企業には、米ボーイングや英・蘭ユニリーバなど欧米の巨大企業のほか、中国の通信機器メーカーのシャオミ、電気自動車の米テスラなどの新興勢力も含まれます。その理由を国際化戦略の基本概念を振り返りながら、ご説明しましょう。

なぜ企業は財の輸出入だけでなく、海外に直接投資をするのか。その行動原理を説明しようと、1960年代から議論が始まりました。

最初が「独占的優位」の理論です。これは、企業は市場の構造的な失敗がもたらす優位性を最大限に活用するために対外直接投資を行う、と説明します。この理論は、50~60年代に米企業が母国で培った独占的優位を海外でも発揮する動きをうまく説明することができました。

[図表1]
拡大する

しかし70年代に入ると、独占的優位を必ずしも持たない企業の進出が目立ってきます。そこで注目を集めたのが、ノーベル経済学賞を受賞したオリバー・ウィリアムソンが提唱した、取引コスト理論をベースにした考え方です。企業は海外での事業活動を自社内に取り込むほうがコストが下がるから進出する。この優位性を「内部化の優位」と呼びます。

「グローカル」戦略は80年代からの議論