いのうえ・たつひこ●早稲田大学商学学術院教授。1997年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。早稲田大学商学部助教授などを経て2008年から現職。(撮影:梅谷秀司)

ビジネスモデルの意味を「儲けるための仕組み」と理解している人は少なくありません。特に2000年代以降、インターネットを活用して収益を得るビジネスが続々と誕生するにつれて、この解釈が主流になってきたように思います。

確かにこの解釈は定義としては間違いではありませんが、私は本質的に異なるとらえ方をしています。それは、ビジネスモデルとは、事業や儲けの仕組みを設計したり構築したりするときに必要な「型(かた)」や「お手本」だという考え方です。

抽象化した「型」を自社の仕組みに適用

そして、その型を模倣することで新しいビジネスモデルやイノベーションが生まれる、というのが私の基本的なスタンスです。実は国内外を代表するいくつかの企業も、ほかの会社を模倣することで新たなモデルを構築しています。

たとえば日本にコンビニという流通革命をもたらしたセブン−イレブン・ジャパン。創業者の鈴木敏文氏は、全米に展開する米セブン−イレブンを目の当たりにして、零細小売店を復活させるビジネスモデルと確信し、国内にこの仕組みを持ち込みました。

ヤマト運輸も宅急便に参入する際に、吉野家が事業を牛丼一筋に絞り込んでいるのを知って、「取り扱う荷物の絞り込み」というアイデアに至ります。そしてニューヨークの四つ角に貨物運送会社の米UPSの車が4台停車していたことから、集配密度をコアとする宅配ビジネスに可能性を見いだしたとされています。

また米スターバックスコーヒーはイタリアのエスプレッソバーから、国内のドトールコーヒーもパリやドイツのカフェから、ヒントを得たといわれています。