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「高収益は 事業立地で決まる」 日本型経営を問う1

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三品和広 神戸大学大学院 経営学研究科教授 

みしな・かずひろ●1959年生まれ、愛知県出身。一橋大学商学部卒業、同大学大学院商学研究科修士課程修了。米ハーバード大学文理大学院博士課程修了。同大学ビジネススクール助教授などを経て現職。(撮影:梅谷秀司)

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高収益事業の共通点を探るため、著書『高収益事業の創り方』で、1805社、約3000に及ぶ事業セグメントの分析を行った。収益性の高い事業の例をたくさん集めることで共通するパターンを探る、帰納的な試みだ。

2000~09年度の10年間を対象に、6期以上で一貫したデータを入手でき、かつ8期以上の年次決算で売上高営業利益率が10%以上となった事業を「成功例」とした。成功例は全体の5%に当たるたったの151。これが日本企業の実力だ。

製品・管理の次元での“戦略”は行き詰まる

成功例に共通している点は一目瞭然だった。「事業立地」がよいということだ。仕事の仕方の工夫や製品開発ではなく、そもそも「何屋さんをやるか」の選び方が優れている。

事業立地の考え方では、ある市場の中でどこにポジショニングするかよりもむしろ、そもそもどの市場を選ぶかが重要になってくる。

たとえばチョコレート菓子の製造・販売というB to C市場を想定しよう。一般的には、そのB to Cの市場の中で子ども向けの菓子を売るか、大人の女性向けの菓子を売るかといった位置取りが議論される。

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