おカネがなくては企業活動は始まらない。損益計算書上で利益が出ていたとしても、売掛金の回収ができずに資金がショートすれば、黒字倒産に追い込まれることもある。「キャッシュ・イズ・キング(現金こそが王様)」といわれるゆえんだ。

手元資金の潤沢さを示す指標の一つとして、「ネットキャッシュ」が挙げられる。現預金と短期保有有価証券を足し、そこから有利子負債を差し引いて算出する。

ネットキャッシュが多いほど倒産の可能性は遠のき、経営の安定性は増す。一方、経営者には資金の効率的な活用も求められる。投資家の視点で見ると、足元でこれだけ金利が低いにもかかわらず、使用用途が当面ないキャッシュを大量に抱えていることは、資金をムダに遊ばせていると判断せざるをえない。

特に昨今では、コーポレートガバナンス・コードの導入などにより、企業には株主の利益を毀損していないか、明確な説明が求められるようになった。機関投資家などは、キャッシュリッチ企業に対し、成長につながるような投資か、もしくは増配や自己株買いなどによる株主還元の強化を求めている。