『下流老人』著者・藤田孝典と

老後貧困の現場を歩く

1億総老後崩壊の時代がやってくる――。10年以上にわたり生活困窮者の支援を続けてきた『下流老人』の著者はそう警告する。豊かな老後はもはや夢物語なのか。追い込まれる高齢者たちの実態に迫る。

藤田 孝典 NPO法人ほっとプラス代表理事
ふじた・たかのり●1982年生まれ。聖学院大学客員准教授、反貧困ネットワーク埼玉代表。首都圏で生活困窮者の支援を行うソーシャルワーカー。2011年にほっとプラスを設立。(撮影:尾形文繁)

月9万円の年金収入しかなく、年金支給日前には野草を食べて飢えをしのぐ男性、月17万円の年金収入はあるがうつ病になった娘の看病でギリギリの生活を余儀なくされている老夫婦、心筋梗塞になって治療費や生活費で3000万円近くあった貯金を使い果たし、生活保護を受給する孤独な男性……。

『下流老人』。高齢者のショッキングな実態を明らかにした本が大きな話題を呼んでいる。著者はNPO法人ほっとプラスの代表理事、藤田孝典さんだ。大学在学中の2002年からホームレスの支援を始め、10年以上にわたって生活困窮者をサポートしてきた。

貧困に苦しむ高齢者は右肩上がりで増えている。生活保護受給世帯は今年3月時点で162万と過去最多を更新。その半数は高齢者世帯だ(参照→「急増する老後の下流転落」図表)。ほっとプラスには毎年300人以上から相談が寄せられるが、今年はさらに増えそうだという。