「寺離れ」「墓じまい」といった言葉が普通に使われるようになった。それだけ寺にとっては大変な時代になったことを意味している。ところがそんな逆風の中、あえて檀家制度を廃止して、独自の「信徒制度」に切り替え経営基盤を拡大させている寺がある。埼玉県熊谷市にある曹洞宗 見性院(けんしょういん)だ。

檀家制度を廃止したのも大胆だが、それだけでなく布施や戒名など寺にかかわるすべての宗教行為の価格を公開し、さらには昨年刊行した新書の中で寺院経営の収支の公開までしてしまった。ガラス張りの経営を標榜しているのだ。

橋本英樹住職(49)は、「江戸時代から続く家を中心にした檀家制度はもはや限界に来ている。本来、宗教は自らの思想・信条や宗教観によって選ぶもの。住職のやり方に共鳴できる方はいらっしゃってください、というのがふさわしいはず」と話す。

父親である先代住職から寺を継いだのが2007年。以後、自分の理想とする寺を目指し、12年に檀家制度廃止に踏み切った。「檀家制度はお布施の強要システムになっている。他方で、寺もすべて檀家に頼っている。寺と檀家は互いにもっと自立的であるべきだ」と考えたからだ。