反対のプラカードを持った民主党議員らの乱入と入れ違いに退席する安倍晋三首相(左上・背を向けている人物、7月15日の衆議院特別委員会での安保法案強行採決にて)(時事)

集団的自衛権の行使を可能にするための安全保障法案には「海外での武力行使に道を開く」といった批判に加え、各種の世論調査で「わかりにくい」という反応が根強い。にもかかわらず、安倍晋三首相率いる自民党は、衆議院特別委員会で採決を強行。法案は衆院を通過したが、参院での審議は難航必至だ。政権の求心力低下も避けられず、経済政策や社会保障改革にも支障が出ることは間違いない。安倍政権の先行きには黄信号が灯ってきた。

そもそも、この安保法案には無理がある。「保持しているが、行使は憲法上許されない」としてきた集団的自衛権を、「日本に影響が及ぶ」との限定付きで容認することになった。

できるだけ広範な行使を思い描いていた安倍首相に対して、公明党と内閣法制局が制約を主張、妥協の産物として、1.幸福追求などの権利が根底から覆る明確な危険、2.ほかに手段がない、3.必要最小限の行使にとどめる、という3要件の下での限定容認となったのである。