2015年の路線価は、都内は前年比で平均2%上昇したものの、全国平均では7年連続のマイナスだった。地価の高い大都市圏では、以前から相続税の増税に危機感を抱き、その準備や対策に余念のない人が多いが、それ以外のエリアでも、自宅の敷地面積や金融資産の額次第では課税対象となる可能性が十分にある。今や誰にとっても、相続税と遺産分割の正しい知識は必須だろう。そこで、トラブルを避け、損をしないための相続・相続税のコツについて解説する。

CASE.1 相続税の意外な盲点

遺言の作成や遺産分割協議の際、税金の正確な知識は欠かせない。民法上は問題ない処理でも、相続税などの税負担が増えては困る。逆に、税務署は文句を言わなくても民法上は問題が生じることもある。うっかりしがちな論点をまとめてみた。

(1)認知症の相続人がいる

認知症の相続人がいるときは、家庭裁判所に「成年後見人」などを選任してもらう必要がある。相続人が自分の行為の結果を正しく理解できない状態で行った協議は無効なので、後見人が協議に参加する。後見人も相続人の場合は、自分に有利な遺産分割を行わないよう、別途、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立て代理人が協議に参加する。これらの選任が申告期限に間に合わないと遺産が未分割の状態で申告することになり、その際には配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が適用できない。