米『フォーブス』誌(5月25日号)に登場したフランク・ワン氏。ハリー・ポッターばりの丸眼鏡がトレードマークだ(雑誌撮影:尾形文繁)

ファントム(亡霊)といえば航空関連産業では長く、米マクドネル社が開発した艦上戦闘機Fー4を意味してきた。だが今、この名を冠したドローンが世界の空を席巻しつつある。世に送り出したのは中国のベンチャー企業、深セン市大疆創新科技(DJI)だ。

4月、首相官邸に侵入したドローン。1月、米ホワイトハウスの敷地内で低空飛行しているところを捕獲されたドローン。いずれも“正体”はDJIのファントムだった。日米のドローン規制の動向に大きな影響を与えたこれらの事件に共通してファントムが登場したのは、単なる偶然ではない。

ドローン界のT型フォード

ドローン産業のT型フォード──ファントムは業界でそう評価されている。安定した性能と手頃な価格を兼ね備え、自動車の大衆化を主導したT型。これとちょうど同じ役割を、ファントムはドローン産業で果たしているというのだ。

DJIは2013年1月にファントムシリーズの初代機を発売した。ラジコン愛好家が度肝を抜かれたのは、4枚プロペラによる飛び抜けた飛行性能と操縦のしやすさだ。それまで飛行型のラジコンといえば、双翼機やヘリコプターを模したものが主流だった。格好はよいが、上手に飛ばすには何カ月もの練習が必要だった。ところがファントムは、1時間も練習すれば基本的には飛ばせるという手軽さだ。