世界の運用難民が米国に押し寄せる。どこまで耐えられるか

高田 創 みずほ総合研究所 常務執行役員・チーフエコノミスト

たかた・はじめ●1982年東京大学卒業。86年オックスフォード大学開発経済学修士課程修了。82年日本興業銀行入行、みずほ証券執行役員などを経て、11年から現職。(撮影:梅谷秀司)

為替の世界で起きているのは、自国の金利を下げて、それによって自国通貨を安くするという通貨戦争だ。

欧州中央銀行や日本銀行の量的緩和に加え、最近では新興国でも金融緩和が広がっている。各国の国債利回りを見ると、欧州では年限の短いところでマイナス金利が続き、日本も極めて低い金利だ。

こうした金利の「水没」によって、世界の金融機関は「運用難民」に陥った。そして、彼らからすれば相対的に金利が高く、利上げ方向にある米国は水没の中で金利が残る「浮き輪」にほかならない。その結果、運用難民の資金がどっと浮き輪に押し寄せ、ドル高が進んでいるわけだ。

為替相場の転換点 決めるのはいつも米国

もう一つ重要なのは、為替の大きな転換点を誰が決めているかということだ。1970年代以降の変動相場制の為替市場を40年くらい見てきた経験から言えるのは、結局、それは米国であるということだ。

戦後の1ドル=360円の固定相場を決めたのも、それを覆したのも米国。近年では戦後最大の経済危機である2007年のサブプライムショック以後、米国は量的緩和(QE)によって自己目的的なドル安誘導に舵を切った。そして12年末ごろからは、ドル安誘導をやめ、ドル高でいいという方向に変わっている。