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ドル高円安の波紋 黒田ショックとFOMCが直撃

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急速なドル独歩高は、米国景気に冷や水を浴びせ、利上げ計画に暗雲が垂れこめかねない──。そこに繰り出された黒田ショックの真意。

「黒田ショック」が為替市場を襲った──。6月10日午後、衆議院財務金融委員会で日本銀行の黒田東彦総裁が「実質実効為替レートがさらに円安に振れることはありそうにない」と答弁すると、ドル円相場は一気に1ドル=124円台半ばから122円台半ばへ急落した。

「何をしでかすかわからないやつだ」とヘッジファンドも恐れる黒田総裁。昨年10月末、突如発表した「バズーカ2」(追加金融緩和策)などサプライズ提供には事欠かないが、今回は一瞬のうちに約2円の円高現出を軽々とやってのけた。

市場を襲った黒田発言ショック。今後の展望は(撮影:尾形文繁)

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黒田総裁が懸念したのは、昨秋以降の一段の円安によって輸入物価が上昇し、低所得層の個人消費に悪影響を与えていることだ。もちろん狙いは、円安のスピードを緩やかにすることであり、円高を意図しているわけではない。

しかし実際には一時的にしろ、円高に加え株安まで招いてしまった。そんなリスクを冒してまで「口先介入」を行ったのはなぜなのか。

[図表1]
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米国が放棄したドル高容認

黒田ショックの3日前。ドイツ南部の保養地・エルマウで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、市場を揺らす一悶着があった。

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