検索を会社分割して平等に利用させよ

玉井克哉 東京大学 先端科学技術研究 センター教授

たまい・かつや●1983年東京大学法学部卒。同学部助教授(行政法、知的財産法)を経て97年から現職。弁護士登録。(撮影:ヒダキトモコ)

グーグルが集めたパーソナルデータは、世界でほかにないデータベースになっている。1回でき上がってしまうと、新しい対抗勢力は原理的に生まれようがない。先進国の国民のデータを握ってしまえば、世界における購買力の相当部分を確保できる。パソコンだけでなく、スマホ(スマートフォン)でもグーグルが約9割シェアを握っている。またグーグルはAndroid OSに好きな機能を組み込むことで、どんなことでもできる。これに対抗できるのは現状でアップルしかいない。グーグルにすべてを預けるか、アップルを信頼するか、まさに究極の選択だ。

健康管理のアプリをグーグルからダウンロードすると、過去の体調も表示される。情報提供に同意したのだろうが、プライバシーを意識した人はいないだろう。ここでプライバシーの定義は2つある。若い頃に政治活動をしていたとか、肺がんだと診断されたとか、他人にはみだりに知られたくない情報がまず1つ。これはグーグルの影響とあまり関係ない。

もう1つはITの発展、特にグーグルの登場で生まれた新たなプライバシーだ。収集する情報の1つひとつはどうでもいい。私が誰々といつ会ったとか、夜9時3分発の電車に乗って帰宅途中だとか。しかし、すべて収集すると、たとえば昼食を抜いた、最寄り駅に着くのが9時43分、行きつけの居酒屋は満席、という情報がわかる。そこでグーグルが「満席ですよ、手前のこっちの店にしませんか」と提案したとしよう。その店は、客が増えるなら利益の半分をグーグルに払っていいと思うかもしれない。

電力会社が料金差別するのか