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日本の解雇規制は本当に厳しいのか 気鋭の経済学者が問う

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政府の産業競争力会議は、日本型雇用慣行による問題と解雇規制を混同しがちだ(読売新聞/アフロ)

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雇用問題で最も注目を集めるものの一つは、解雇と解雇規制だ。解雇規制により正社員の雇用が守られすぎているという主張がある一方、乱暴な解雇が横行していることを問題視する意見もある。

そこで以下では、日本における解雇規制について整理したい。

まず日本では解雇が難しいのかどうかを考えるために、経済協力開発機構(OECD)が2013年に発表した雇用保護指標を見てみよう。正社員の解雇に注目したいので、一般労働者の雇用保護についての数値を見ることにする(図表1)。

[図表1]
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これは個別的解雇と集団的解雇の難しさを集計した指標であり、数値が大きいほど保護が強い。日本はOECD加盟34カ国の中で、米国や英国よりは強いが、フランスやドイツよりも弱いことがわかる。

ただしこの指標の解釈には注意が必要である。それは国によって雇用慣行や歴史的経緯が異なるからだ。

そこで日本の解雇ルールについて、より詳細に見ていこう。

解雇規制のキモは「雇用契約を守ろう」

そもそも解雇とは、雇用契約を会社側が一方的に打ち切ることである。これは有期雇用のケースから考えるとわかりやすい。たとえば、1年間という期間を定めて、会社が労働者を雇用したとする。契約で定めた業務を労働者がきちんとこなしている場合は、会社はこの労働者を契約期間中は原則として解雇できない。契約違反だからだ。しかし労働者が契約どおりに働いていなければ、会社側は契約を打ち切ることができる。これが解雇である。

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