すでに日本型雇用慣行は崩れているから、このままどんどん欧米型に近づけていけばいい。そうした発想は政府や企業経営者、有識者にもあって、雇用改革に影響を与えています。

しかし、「すべての問題の根っこは日本型雇用慣行にあった」で見たように日本型雇用慣行の最大の特徴は、雇用契約において職務が決まっていないことです。この根源部分はバブル崩壊後もまったく変容しておらず、むしろ強固さが目立っています。

一例を挙げましょう。三種の神器のうち最も崩れたように見える年功賃金。確かに昨今、一部の企業では40歳前後の管理職世代以上の定期昇給を止め、賃金のフラット化が進んでいます。そして世界と同様、職務ごとに賃金を決める「職務給」を名乗る企業もあります。

しかし、「本当の意味での職務給とは違う」と人事専門のヘイコンサルティンググループの柴田彰氏は指摘します。

たとえば本来の職務給なら、人事部長と営業部長では人事部長のほうが賃金が高いとします。しかし日本でそのように忠実に賃金を決めてしまうと、人事部長→営業部長という配置転換が不公平感によって行いにくくなります。実際、多くの日本企業の新賃金形態は役割給と呼ばれ、それは職務内容に職責が加味されたものです。