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ゆうちょ襲来 秋上場でも見えぬ成長戦略 最後の大型民営化プロジェクト

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後任社長が決まらず、ゆうちょ銀行の社長を兼務する西室泰三・日本郵政社長(撮影:今井康一)

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期限までに計37人が名乗りを上げたという。日本郵政グループのゆうちょ銀行が今年2月中旬に告知した「市場運用」および「市場リスク管理」を担当する管理職の公募に対して、だ。しかも現在、メガバンクなど他の金融機関に在籍している「現職の人がかなりいる」(西室泰三・日本郵政社長兼ゆうちょ銀行社長)というから驚く。

運用・リスク管理の事実上の責任者といっても、グループの規定に従うかぎり、受け取れる報酬は多くてもせいぜい2000万円ほど。生き馬の目を抜くとさえいわれるマーケットの世界で日々、極度の緊張にさらされながら身を粉にして働いて得られる対価としては「さしたる金額ではない」(みずほ銀行市場部門幹部)。西室社長は、「今後別途、成功報酬的な体系を作ることも検討する」としているが、外資系金融機関なら「1億円プレーヤーがざら」(金融筋)ともいわれる中で、どこまで踏み込めるか。

ゆうちょ銀行が今年度からリスク資産投資の拡大に乗り出す。2014年12月末で運用資産全体(205兆円余)の2割強、46兆円にとどまっている外国証券や株式などへの投資を、17年度末までに3割強積み増し、60兆円に引き上げる(図表1)。今後、採用委員会を立ち上げて先の応募者の中から運用とリスク管理に関する責任者の選考を急ぎ、今夏までにリスク運用の専門部署も発足させる。正式な運用方針は年度上期中に決めるが、アクティブ運用やヘッジファンド、不動産、コモディティといった非伝統的金融商品に資産を振り向ける。オルタナティブ投資(代替投資)もスタートさせる計画だ。

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